2026年10月14日

こんにちは、院長の玉岡です。
この記事でわかること
- 血便が1回だけで止まったときに、自宅で様子を見てもよいケース
- すぐに受診した方がよい症状と、救急受診を考えるサイン
- 血の色や出方から考えられる原因、当院での診察・検査の流れ
排便後に血を見つけると、「1回だけなら大丈夫?」「痔だろうか」と不安になる方も多いと思います。血便は痔などが原因で起こることもありますが、大腸の病気が隠れている場合もあります。
大切なのは、出血が止まったかどうかだけでなく、血の量や色、出方、ほかの症状を合わせて判断することです。
血便が1回だけで止まったら、様子を見てもいい?
結論からいうと、少量の出血が1回だけで、ほかに症状がなければ、緊急性は低い可能性があります。
ただし、「1回で止まった=原因を確認しなくてよい」という意味ではありません。
再び出血した場合や、気になる症状がある場合は受診した方がよいでしょう。以下の目安を参考にしてください。
自宅で様子を見てもよいケース
次の条件がすべて当てはまる場合は、次の排便以降に再出血しないか注意しながら、いったん自宅で様子を見てもよいでしょう。
- 硬い便や強いいきみの直後に、紙または便の表面に少量の鮮血がついた
- 出血は1回だけで、その後は止まっている
- 強い腹痛、発熱、嘔吐、ふらつきなどがない
- 便通の変化や原因不明の体重減少がない
ただし、これは緊急性の目安です。
初めての血便で原因が分からない場合や、同じ出血を繰り返す場合は、一度ご相談ください。
早めに受診した方がよいケース
- 血便を繰り返す、または出血が数日続く
- 血が便の中に混じっている、暗赤色の血が出た
- 下痢、粘液、腹痛、発熱を伴う
- 便が細くなった、便秘や下痢など排便習慣が変わった
- 原因不明の体重減少、息切れ、疲れやすさなどがある
- 40歳以上、またはご家族に大腸がん・大腸ポリープの方がいる
- 過去に大腸ポリープを指摘されたことがある
血便は、40歳未満であれば受診しなくてよいというものではありません。
年齢だけで判断せず、出血の状態やほかの症状も確認することが大切です。
夜間・休日でも救急相談や救急受診を考えるケース
- 出血量が多い、血が流れ出る、排便のたびにまとまった出血がある、血の塊が出る、出血が止まらない
- めまい、ふらつき、冷や汗、動悸、息苦しさ、意識が遠のく感じがある
- 黒く、つやがあり、粘り気のあるタール状の便が出た
- 強い腹痛、繰り返す嘔吐、高熱を伴う
抗凝固薬や抗血小板薬など、血液を固まりにくくする薬を服用している方は、「薬の影響だろう」と自己判断して出血を軽視せず、早めに医療機関へ相談してください。
なお、服用中の薬は自己判断で中止しないでください。
血の色や出方から考えられること

血の色や出方は、出血している場所を推測する手がかりになります。
ただし、見た目だけで病名を確定することはできません。
鮮血は直腸がんなどでもみられる場合があるため、「赤い血だから痔」とは限りません。
鮮やかな赤い血
トイレットペーパーにつく、便の表面につく、排便時にぽたぽた落ちる鮮血は、肛門に近い場所からの出血が疑われます。
いぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)でよくみられますが、直腸のポリープや直腸がんなどでも生じることがあります。
暗赤色の血・便に混じった血
血が便の中に混じっている、暗赤色または赤黒く見える場合は、大腸の奥からの出血も考えます。
大腸憩室出血、虚血性大腸炎、炎症性腸疾患、大腸がんなどが原因になることがあります。
ただし、色だけで出血部位を断定することはできません。
黒いタール状の便
黒く、つやや粘り気があり、特有のにおいを伴う便は、胃や十二指腸など上部消化管からの出血が疑われます。
鉄剤や一部の薬、食品で便が黒くなることもありますが、タール状の便や体調不良がある場合は早急に医療機関へ相談してください。
血便の主な原因
いぼ痔(痔核)・切れ痔(裂肛)
痔核では、排便時に鮮血が出ても自然に止まることがあります。
裂肛では、硬い便の後に紙へ少量の血がつき、排便時の痛みを伴うことが一般的です。
ただし、痔がある方でも、すべての血便が痔によるものとは限りません。
大腸がん・直腸がん、大腸ポリープ
大腸がんでは、血便のほか、便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す、残便感、貧血、体重減少などがみられることがあります。
一方で、早期には症状がほとんどない場合もあります。
大腸ポリープは目に見える出血を起こさないことも多く、症状だけでは有無を判断できません。
大腸憩室出血・虚血性大腸炎
痛みなく突然まとまった量の暗赤色の血が出た場合は、大腸憩室出血などを考えます。
強い腹痛の後に下痢や血便が出た場合は、虚血性大腸炎の可能性があります。
潰瘍性大腸炎・感染性腸炎など
血液に粘液が混じる、下痢が続く、腹痛や発熱を伴う場合は、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や感染性腸炎なども考えます。
当院での診察と検査の流れ
まず、血の色や量、出方、排便時の痛み、便通の変化、服用中の薬、ご家族の病歴などを伺います。そのうえで、必要に応じて肛門の診察や血液検査を行い、年齢や症状、これまでの検査歴を踏まえて大腸カメラの必要性をご説明します。血便があれば、必ず大腸カメラを行うわけではありません。
私は、日本外科学会・日本消化器外科学会・日本消化器内視鏡学会・日本大腸肛門病学会の4領域の専門医です。肛門の診察から大腸カメラまで一貫して担当し、考えられる原因と検査の選択肢を分かりやすくお伝えします。
診察室にはカーテンを設置し、患部に触れる前には必ずお声がけします。スタッフも同席し、初めての方にもできるだけ不安なく受診していただける環境を整えています。
夕方の外来診療にも対応しています。大腸カメラは、土曜午後・第2・第4日曜を含む予約検査枠で行っています。当日に院内で前処置を行う即日大腸カメラにも対応していますので、ご希望の方は予約時にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 血便は何科を受診すればいいですか?
A. 肛門外科、消化器内科、または大腸内視鏡検査を行う医療機関へご相談ください。
当院では、肛門と大腸の両方を一人の専門医が診察します。
Q. 痛みのない血便の方が心配ですか?
A. 切れ痔は痛みを伴うことが多い一方、内痔核や大腸の病気では痛みがない場合もあります。
ただし、痛みの有無だけでは原因や重症度を判断できません。血の量や色、便通の変化なども合わせて確認します。
Q. 便潜血検査が陰性なら安心ですか?
A. いいえ。目で見える血便がある場合、便潜血検査が陰性でも安心とは言い切れません。
大腸がん検診として便潜血検査を受けて様子を見る段階ではないため、血便の症状について医療機関へご相談ください。
Q. 便潜血検査が陽性でした。もう一度便潜血検査を受けて、陰性なら精密検査は不要ですか?
A. いいえ。便潜血検査が1日分でも陽性になった場合、便潜血検査のやり直しは精密検査の代わりにはなりません。
再検査で陰性になっても自己判断で精密検査を省略せず、医療機関を受診してください。
まとめ
血便が1回だけで止まり、少量の鮮血以外に症状がなければ、緊急性は低い可能性があります。
しかし、出血の回数だけで原因を判断することはできません。
大量出血、黒いタール状の便、ふらつきや強い腹痛などがある場合は、夜間や休日でも救急相談・救急受診を検討してください。
少量でも再出血した場合や、便通の変化、体重減少などがある場合は早めの受診をおすすめします。
大阪・鶴橋で血便が気になる方は、お気軽にご相談ください。Web予約のほか、LINEでもご予約いただけます。
参考文献
日本大腸肛門病学会「肛門からの出血の状態で、大腸・肛門の病気が分かりますか?」
国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
記事監修:玉岡滉平(日本大腸肛門病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医)
