下痢
下痢

下痢が続くと腹痛や脱水などを引き起こし、生活に支障をきたすことがあります。食あたりや風邪による一時的な下痢もあれば、数週間以上続く慢性的な下痢の中には、重大な病気が隠れている可能性も考えられます。
繰り返す下痢に悩まされている場合は、早めに消化器内科を受診し、原因を明らかにすることが大切です。
下痢が続く原因には、食事内容や生活習慣、一時的な感染症から消化管の病気まで、さまざまな要素が関係しています。一般的なのは、ウイルスや細菌による感染性胃腸炎です。特に冬場に流行するノロウイルスなどは、下痢だけでなく嘔吐や発熱を伴うため、脱水や体力低下に注意が必要です。
また脂っこい食事やストレス、アルコールも下痢を起こす原因になります。一方で、何週間も下痢が続く場合には、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、大腸がんなど、重大な病気が関係している可能性があります。
さらに過敏性腸症候群(IBS)のように、検査では異常が見つからなくても、ストレスや自律神経の乱れが原因で下痢を繰り返すケースも少なくありません。検査で異常がなく、原因を特定できない場合は、機能性下痢症と診断されることもあります。
他には、糖尿病や甲状腺機能の異常、薬の副作用など消化管以外の病気も、下痢を引き起こすことがあります。下痢が続いているときは、自己判断せず、消化器内科を受診してください。
下痢は便が通常よりも水っぽくなり、排便回数が増える状態で1日に3回以上の軟便や水様便が続きます。4週間以上持続または反復する下痢によって、日常生活に様々な支障をきたしている場合は慢性下痢症と診断されます。
高齢者や小さな子どもは、繰り返す下痢によって脱水や電解質異常などを引き起こす可能性があるため、症状が続く場合は注意が必要です。
下痢に加えて発熱や腹痛、血便、体重減少がある場合は、感染症や炎症性疾患の可能性があり、早急な対応が必要です。
下痢は一時的な体調不良として軽視されがちですが、以下のような症状が続く場合、消化管の病気や全身性の疾患が隠れている可能性があります。思い当たる症状がある方は、早めにご相談ください。
下痢が長く続く場合、原因を正確に特定するために以下のような検査が行われます。症状や既往歴、年齢によって必要な検査を実施します。
血液検査
体内の炎症反応や貧血、電解質のバランス、がんの有無を確認します。
便検査(便培養・便中抗原検査など)
細菌・ウイルス・寄生虫などの感染の有無を調べます。
内視鏡検査(大腸カメラ)
腸の炎症や潰瘍、腫瘍の有無などを直接観察します。潰瘍性大腸炎や大腸がんの診断に有用です。
画像検査(腹部超音波・CT)
腸の腫れや狭窄、周囲臓器の状態を把握するために使用されます。
注腸造影検査
腸の粘膜や通過障害を詳しく確認するために行います。
検査の結果、異常がみられない場合でも、過敏性腸症候群(IBS)や慢性下痢症(機能性下痢症)といった機能性疾患と診断されることがあります。
下痢が続く場合、症状の経過や便の性状、年齢などによって疑われる疾患は異なります。
感染性胃腸炎
ウイルスや細菌、寄生虫などによって引き起こされる感染症です。特にノロウイルスやロタウイルスが知られており、下痢に加えて吐き気や嘔吐、発熱などを伴うことがあります。乳幼児や高齢者は脱水に注意が必要です。
大腸がん
大腸粘膜に発生します。早期は無症状ですが、進行すると血便や下痢・便秘の繰り返し、体重減少がみられます。特に50歳以上では注意が必要です。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜にびらんや潰瘍を生じる慢性の炎症性腸疾患です。下痢以外にも粘血便や腹痛、発熱などが繰り返し起こります。若年層に多く、長期的にはがん化のリスクがあります。
クローン病
潰瘍性大腸炎と同じ、炎症性腸疾患です。口から肛門まで消化管全体に炎症を引き起こす病気で、10代後半から20代に多く発症します。下痢だけでなく発熱や体重減少、肛門病変などが特徴です。
虚血性大腸炎
主に中高年女性にみられます。大腸の血流不足により粘膜が障害され、腹痛や水様性下痢、下血がありますが、数日から1週間程度で自然に軽快することが多いです。
過敏性腸症候群(IBS)
もしくは機能性下痢症
検査で臓器の異常が見つからないにも関わらず下痢が続く場合、過敏性腸症候群(IBS)や機能性下痢症と診断されることがあります。過敏性腸症候群(IBS)は症状の出方によって下痢型・便秘型・混合型と分類されます。機能性下痢症は、原因の特定ができず、慢性的な下痢が4週間以上続く状態です。
その他にも糖尿病や甲状腺機能亢進症、薬の副作用などが原因となる場合もあるため、症状が続く場合は消化器内科を受診しましょう。
下痢が続く場合の治療は、原因疾患によって異なります。感染性胃腸炎では特効薬はありません。脱水を防ぐための水分補給や対症療法が中心です。乳幼児や高齢者では点滴などによる補液管理が必要になることもあります。
大腸がんが疑われる場合には、進行度に応じて内視鏡的切除や外科手術、抗がん剤治療などが行われます。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、腸の炎症を抑える薬(ステロイドや生物学的製剤など)を使用します。症状が強い場合は入院治療や外科的処置が必要となることもあります。
虚血性大腸炎は、安静や絶食などで多くは改善しますが、症状が強い場合は入院下での治療が必要です。
過敏性腸症候群(IBS)や機能性下痢症では、症状に応じて整腸剤や消化管運動調整薬などを使用します。下痢型の過敏性腸症候群(IBS)では、薬物治療に加えてストレス管理や食生活の調整、心理的アプローチも大切です。
また薬剤性の下痢が疑われる場合は、原因となる薬の中止や変更を検討し、経過を確認します。下痢の原因は多岐にわたるため、自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、医師の診断に基づいた治療が必要です。
下痢は一時的な不調や体質として見過ごされがちですが、長引く場合には重大な病気が隠れているかもしれません。特に血便や発熱、体重減少などがみられる場合は、早急な治療が必要です。
気になる症状があれば早めに当院へご相談ください。早期の受診が安心につながります。
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