大腸ポリープ
大腸ポリープ

大腸の管の内側表面は粘膜でできており、この粘膜の最も浅い層の一部がイボのように隆起してできたものを大腸ポリープといいます。多くは隆起しますが、平坦なものやキノコのように茎を持ったものなど形状は様々です。構造や組織により、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられ、専門的にはさらに細かく分類されています。腫瘍性ポリープは、良性の大腸腺腫と悪性の大腸がんがあり、非腫瘍性ポリープは、過形成性ポリープ、炎症性ポリープ、過誤腫性ポリープに分類されます。非腫瘍性ポリープは加齢や炎症によるもので、大きいものを除いては特に治療を必要としませんが、腫瘍性ポリープは良性であっても大腸がんになる可能性があるため注意が必要です。
大腸がんは、最初からがんとして発生するパターンと、良性の腫瘍性ポリープ(大腸腺腫)が悪性化してがんになるパターンがあります。多くは後者によるもので、サイズが大きくなるほどがん化率が高まると考えられています。そのため発がんリスクのある大腸腺腫を良性の時点で早めに切除することが大腸がんの予防につながります。
大腸ポリープが小さい場合や平坦な場合には、自覚症状を伴うことはほとんどありません。大腸ポリープができやすい場所は、直腸とS状結腸で、この部位は硬い便が擦れる場所であるため、ある程度大きくなると、便潜血検査陽性で発見されたり、さらに増大すると腹痛、便通異常、出血、粘液便などを伴ったりします。まれにポリープが大腸の出口付近をふさいでしまい、腸閉塞を起こしたり、ポリープ自体が肛門から飛び出てしまったりすることもあります。こうした症状が認められる場合、進行してがん化している可能性も高いため、速やかに治療を受ける必要があります。
大腸ポリープができる原因は、主に遺伝子の異常と考えられています。また、大腸がんの発生リスクを高める最大の危険因子は、年齢(50歳以上)および家族歴(家族に大腸がんに罹った人がいる)です。赤身肉や高カロリーな食事、肥満、過量の飲酒、喫煙、保存・加工肉の摂り過ぎなども指摘されていますが、こうした要因が特定の遺伝子に変化を起こすことでポリープを発症し、がんになると考えられています。
大腸がんの家族歴がある場合、そうでない人に比べて2~3倍大腸がんの罹患率が高くなるともいわれています。親兄弟などの血縁者に大腸ポリープや大腸がんを患った人がいる方や40歳を過ぎた方には、定期的な大腸内視鏡検査が推奨されています。
また、家族性腺腫性ポリポーシスという遺伝性のポリープもあります。無数のポリープが大腸にできる病気で、幼いころからポリープができ始め、年齢が上がるに連れてがん化する確率が高くなります。治療せずに放置すると、60歳ごろには、ほぼ100%大腸がんになるといわれています。
大腸ポリープの検査には、便潜血検査、大腸内視鏡検査、注腸エックス線検査があります。便潜血検査は、健康診断などで大腸がんを見つけるための拾い上げ検査(スクリーニング検査)として広く普及しています。便に血液が混じっているかどうかを調べる検査で、自覚症状のない大腸がんを見つけるのに役立ちます。2日間の便を調べ、そのうち1日でも陽性であれば、精密な診断のために大腸内視鏡検査を行います。便潜血検査により、進行がんを90%以上、早期がんを約50%見つけることができるといわれています。大腸内視鏡検査では、モニターを通じて直接粘膜の細かな状態を見られるため、ポリープの大きさや色、表面構造などを正確に把握することができます。検査と同時にポリープを切除できる点も大きなメリットです。注腸エックス線検査は、大腸に造影剤を入れてエックス線撮影を行い、ポリープの形や大きさ位置などを診断します。大腸の全体的な像が得られます。
※当院の大腸内視鏡検査について、詳しくは「大腸内視鏡検査」ページをご覧ください。
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